タスマニア語(読み)たすまにあご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タスマニア語」の意味・わかりやすい解説

タスマニア語
たすまにあご

オーストラリア大陸の南にあるタスマニア島原住民は、1803年の白人到来以後、殺戮(さつりく)などで激減し、純粋のタスマニア原住民は1876年に絶滅した。残された記録が非常に貧弱であるため、彼らの言語について詳しいことはなにもわからない。とくに文法についての資料は乏しい。しかし、音韻の面では、音の区別、音の組合せ方の規則などの点で、オーストラリア本土の原住民語と共通点があるといわれる。白人到来時に少なくとも16の部族があったらしいが、それらは八ないし12の言語に分類されるといわれる。オーストラリア本土の原住民語と同じ系統であるかどうかは不明であり、また他の言語との系統も不明である。

[角田太作]

『R. M. W. DixonThe languages of Australia (1980, Cambridge University Press)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タスマニア語」の意味・わかりやすい解説

タスマニア語
タスマニアご
Tasmanian languages

オーストラリア,タスマニア島の先住民が話していた,互いに同系の5つの言語の総称。 1877年に,タスマニア先住民滅亡とともに死語になった。他言語との系統関係は未詳。 W.シュミットによる研究 (1952) がある。

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世界大百科事典 第2版 「タスマニア語」の意味・わかりやすい解説

タスマニアご【タスマニア語 Tasmanian】

現在は死語となっているオーストラリア南方タスマニア島の原住民の言語()。他の言語との親族関係・系統関係は不明である。タスマニア島の原住民には約16の部族があったといわれるが,1803年の白人の到来・植民以後,殺戮(さつりく)などで激減し,純粋の原住民は76年に絶滅した。現存する記録が貧弱であるため,彼らの言語の音韻・文法等はほとんど何もわからない。ただ,音韻はオーストラリア大陸の原住民語(オーストラリア諸語)となんらかの共通点があるといわれる。

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