タイプ孔版印刷(読み)たいぷこうはんいんさつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイプ孔版印刷」の意味・わかりやすい解説

タイプ孔版印刷
たいぷこうはんいんさつ

タイプライターで打った字を孔版印刷にする方法。活字孔版ともいう。タイプライターを使用してタイプ原紙に印字してステンシルstencil(一種の型紙)をつくり、謄写版で印刷する方法。タイプライターは一般のタイプライターと大差ない構造であるが、活字の大きさ(4号、5号、8ポイント、9ポイント)や強度にくふうがされている。タイプ原紙はタイプされた部分の塗料が剥(は)げ落ちる構造で、落ちた文字部分は白紙につき、校正用として使用される。原紙はネガチブ(黒地白抜きの文字)になるので、これをステンシルとして謄写版印刷とする。手書きの謄写版印刷に比べ、活字書体を使用しているから読みやすく、しかも印刷法が簡単なので、ある時期は広く利用されたが、小型オフセット印刷機の発達と簡易平版製版法が盛んになるにつれて、いわゆるタイプオフ(タイプライター印字を原版とするオフセット印刷)の方向に移った。この方法は、タイプ印字と写真製版法あるいは電子製版法により平版としてオフセット印刷するもので、軽印刷の主流となり、学校、官公庁、一般会社の事務室で事務員が容易に印刷できる方法として受け入れられた。しかし、その後写真植字を原版とするオフセット印刷、DTP(デスクトップ・パブリッシング)と進化し、現在はあまり行われていない。

[山本隆太郎・中村 幹]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例