ソコイトヨリ(読み)そこいとより(英語表記)yellowbelly threadfin bream

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソコイトヨリ」の意味・わかりやすい解説

ソコイトヨリ
そこいとより / 底糸撚
yellowbelly threadfin bream
[学] Nemipterus bathybius

硬骨魚綱スズキ目イトヨリダイ科に属する海水魚。若狭(わかさ)湾以南の日本海沿岸、相模湾(さがみわん)以南の太平洋沿岸、東シナ海、済州島(さいしゅうとう)(韓国)、台湾、フィリピン諸島の海域、アンダマン海、オーストラリア北西岸などに分布する。体は長紡錘形でやや側扁(そくへん)する。体長は体高の2.7~3.5倍。目は吻端(ふんたん)と胸びれの基底上端を結ぶ線より上にある。頭頂部の鱗(うろこ)は眼窩(がんか)の後方から中央部付近までくさび形に伸びる。頬(ほお)の鱗は3列。臀(しり)びれは3棘(きょく)7軟条。尾びれは深く二叉(にさ)し、その上葉は糸状に伸びる。最大の体長は約20センチメートルで、普通は15センチメートルほど。体は背側面では桃色で、腹側面は銀白色。体側に2条の黄色縦帯があり、第1帯は側線の下を鰓蓋骨(さいがいこつ)の後ろから尾びれ基底上部まで、第2帯は胸びれ基底の上端から尾びれ基底中央部まで走る。鰓蓋直後の側線部に1個の赤色斑(はん)がない。尾びれは桃色で、上葉の伸長鰭条(きじょう)は鮮黄色。腹びれの基部は鮮黄色。水深45~90メートルの砂泥底に生息するが、大形魚は水深110メートルを超える。大形魚はおもに甲殻類小魚、頭足類などを、若魚はコペポーダ、端脚(たんきゃく)類、貝形類などを食べる。産卵期は南シナ海では6~10月。退化的な雌雄同体魚で、すべての雄は生涯にわたって機能的な精巣と退化的な卵巣をもつ。雄は雌より成長がよい。一本釣り、延縄(はえなわ)、底引網などで漁獲される。肉は白く、味は淡泊で、高級魚として珍重する。刺身、照焼き、みそ漬け煮つけ吸い物などにして美味である。イトヨリダイに似るが、ソコイトヨリには臀びれが3棘7軟条であること、側線の始部に赤色斑がないこと、幅の広い2条の黄色縦帯があることなどで区別できる。

[尼岡邦夫 2018年3月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「ソコイトヨリ」の解説

ソコイトヨリ

 [Nemipterus bathybius].スズキ目イトヨリダイ科の海産魚.全長20cmになる.食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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