センニンガジ(読み)せんにんがじ(英語表記)carpet eelblenny

日本大百科全書(ニッポニカ) 「センニンガジ」の意味・わかりやすい解説

センニンガジ
せんにんがじ / 仙人我侍
carpet eelblenny
[学] Congrogadus subducens

硬骨魚綱スズキ目メギス科センニンガジ亜科に属する海水魚。日本では沖縄本島、宮古島、八重山(やえやま)諸島などの海域から知られ、世界ではフィリピン諸島、インドネシア、オーストラリアの東西の北岸などに分布する。体は著しく細長く、ウナギ形で側扁(そくへん)する。体高は臀(しり)びれの起部で体長の約7~16%。下顎(かがく)は上顎より突出する。背びれと臀びれの基底は長く、後端で尾びれとつながる。背びれは鰓孔(さいこう)の上端から始まり、棘(きょく)がなく、68~79本の分枝した分節軟条からなる。臀びれにも棘がなく、57~66本の分枝した分節軟条のみからなる。尾びれは上・下葉に各5本の分枝軟条からなる。胸びれは小さく、9~11軟条。腹びれはない。体、頬(ほお)および鰓蓋(さいがい)は小さい楕円(だえん)形の円鱗(えんりん)で覆われる。頭部と体は緑褐色から赤褐色と変化に富み、眼径より小さい不定形の淡色斑点(はんてん)が散在する。これらの斑点はときどき帯状や網目状になる。鰓蓋の上部に大きい暗色の眼状斑がある。垂直鰭(すいちょくき)(背びれ、臀びれ、尾びれの総称で、対(つい)をなさないひれ)は体色に似る。沿岸岩礁やサンゴ礁域、潮だまりタイドプール)、藻場(もば)に近接した泥底に潜み、夜間に活発に活動する。最大全長は45センチメートルになる。水族館で飼育されることがあるが、食用にはしない。「ガジ」はゲンゲ科やタウエガジ科の多くの種の和名に使われているが、本種はまったく別のメギス科に属する。

 本種が属するセンニンガジ亜科は、体が細長いこと、背びれと臀びれの基底が長く、後ろで尾びれとつながることが顕著な特徴である。

[尼岡邦夫 2022年7月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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