ジャワ年代記(読み)ジャワねんだいき(英語表記)Babad Tanah Jawi

改訂新版 世界大百科事典 「ジャワ年代記」の意味・わかりやすい解説

ジャワ年代記 (ジャワねんだいき)
Babad Tanah Jawi

ババッドbabadは普通,ジャワ語の韻文で書かれた年代記の総称であるが,最も有名なこの《ジャワ年代記》は散文で書かれている。イスラム化以前のマジャパイト王国の栄光をたたえた《ナーガラクルターガマ》や《パララトン》の伝統に従い,マタラム・イスラム王朝の栄光を記念する年代記である。初版の成立年代はマタラム朝のスルタン・アグンの治世の晩年,すなわち1641-46年ごろと考えられ,そのあとも多くの作者が既存の部分を改めたり,新しい章を付け加えたりし,現在の形になったのは1757年以後とされる。作者名として,18世紀初頭のパンゲラン・アディ・ラング2世,同中葉のチャリク・バイラが知られるが,不明の点が多い。内容も,史実を記述するよりは,マタラムの王統がマジャパイトの直系であり,ジャワの支配に関して正統性をもつこと,などの証明に主眼が置かれているので,利用する場合は注意を要する。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ジャワ年代記」の解説

『ジャワ年代記』(ジャワねんだいき)

『ジャワ国縁起(えんぎ)』

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