ジクロロエテン

化学辞典 第2版 「ジクロロエテン」の解説

ジクロロエテン
ジクロロエテン
dichloroethene

C2H2Cl2(96.94).ジクロロエチレンともいう.【】1,2-ジクロロエテン:通常,1,2-ジクロロエチレンとして販売されているのは,EZ比が2:3の異性体混合物である.1,1,2,2-テトラクロロエタンを,鉄,亜鉛などの金属を用いて脱塩素化すると得られる.エーテル臭を有する液体.沸点約55 ℃.約1.28.大気中で徐々に分解し塩化水素を発生する.水に不溶,各種有機溶媒に易溶.溶剤として用いられる.[CAS 540-59-0] 
(1)(E)1,2-ジクロロエテン:EZ混合物から分別蒸留によって分離される.融点-49.4 ℃,沸点48.4 ℃.1.265.1.445.強アルカリを用いた処理により,クロロアセチレンを生成する.[CAS 156-60-5] 
(2)(Z)1,2-ジクロロエテン:融点-81.5 ℃,沸点60 ℃.1.291.1.4435.[CAS 156-59-2]【】1,1-ジクロロエテン:塩化ビニリデンともいう.1,1,2-トリクロロエタンや1,1,1-トリクロロエタンの水酸化カルシウムによる脱塩化水素反応によって合成される.クロロホルム様の臭いがある無色の液体.融点-122.5 ℃,沸点31.7 ℃.1.2129.1.4249.0 ℃ 以上で,とくに酸素や適当な触媒と接触すると容易に重合し,ポリ(塩化ビニリデン)を与える.ほかのエチレン系モノマーとの共重合により種々のポリマーを与え,それらは繊維プラスチックフィルムなどに用いられている.[CAS 75-35-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報