化学辞典 第2版 「ポリ(塩化ビニリデン)」の解説
ポリ(塩化ビニリデン)
ポリエンカビニリデン
poly(vinylidene chloride)
略称PVDC.一般式で表される塩化ビニリデンの重合体.工業的には,主として乳化重合,懸濁重合で得られる.単独重合体は密度1.88 g cm-3(20 ℃),ガラス転移温度-18 ℃,軟化点約185~200 ℃,融点212 ℃,分解点210~225 ℃ である.このように軟化温度が高く分解温度に接近しており,また通常用いられる可塑剤との相溶性が悪いため,単独重合体の加熱成形は困難である.したがって,一般に,塩化ビニル,アクリロニトリルなどと共重合して用いる.共重合体は軟化点が低く,可塑剤との混和性もよく,また単独重合体の結晶性を残している.透明で光沢があり比重が大きく,耐薬品性,耐摩耗性にすぐれ,吸水性が小さく難燃性である.用途は,合成繊維材料や,その他塩化ビニリデン樹脂として包装用フィルム,被覆用防湿剤,成形品などに用いられる.[CAS 9002-85-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報