日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シュミット(Johannes Schmidt)
しゅみっと
Johannes Schmidt
(1843―1901)
ドイツの言語学者。A・シュライヒャーの弟子で、1876年以降ベルリン大学教授。『印欧諸言語の親縁関係』(1872)という有名な論文で、インド・ヨーロッパ諸言語の関係を1本の樹木の枝分れ図で表したシュライヒャーの説を批判し、言語変化は、あたかも水面に生じた波紋のように、中心部から地理的に連続した周辺部へしだいに弱まりながら伝播(でんぱ)し、さまざまな形で発生したこのような改新波(=等語線)の累積によって方言分化が行われると主張した。これをシュライヒャーの「系統樹説」に対して「波動説」と称する。ほかに、インド・ヨーロッパ語の母音組織や形態論に関しても優れた研究を残したが、同時代のブルーグマンらに代表される青年文法学派の動きに対しては、終始批判的な立場をとった。
[松本克己 2018年6月19日]
[参照項目] |
|