シネラマ(英語表記)Cinerama

翻訳|Cinerama

デジタル大辞泉 「シネラマ」の意味・読み・例文・類語

シネラマ(Cinerama)

ワイドスクリーン映画の一。3台のカメラで同時に撮影したフィルムを、3台の映写機で湾曲した横長のスクリーン映写して、立体的な画面を得るもの。スクリーンの縦横比率は1対2.88。1952年、米国で実用化。商標名。

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精選版 日本国語大辞典 「シネラマ」の意味・読み・例文・類語

シネラマ

〘名〙 (商標名Cinerama) 大型映画の方式の一つ。三個のレンズで広範囲を三本の三五ミリフィルムに同時に横に並んだ画面として撮影し、三台の映写機で、縦横の比が一対二・八八の大型画面に映写する。一九五二年、アメリカで発表された。のち、七〇ミリフィルム一本に改良音響も立体的で、シネマスコープより大型のもの。
善意(1955)〈舟橋聖一〉「舞台舞台裏客席三方を眺めうる点は、まるでシネラマを見ているようである」

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百科事典マイペディア 「シネラマ」の意味・わかりやすい解説

シネラマ

米国で開発されたワイド・スクリーン映画の一種。3台の撮影機を連動し,左右合計146°(縦55.5°)の視野をとり分け,映写の際も3台の映写機で,ビニルテープをたらしてルーバ状にした大スクリーンに投影する。フィルムは35mm幅を使用,音響は独立の磁気フィルムに収録。第1作は《これがシネラマだ》(1952年)。臨場感に富むが,製作・映写の際に不便なのと,画面が動揺してつなぎ目が目だつなどの理由でこの方式は中止され,スタンリー・クレーマー監督のコメディ《おかしなおかしなおかしな世界》(1963年)以後は1本の70mm幅フィルムを使用するパナビジョン方式を採用。
→関連項目70ミリ映画

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シネラマ」の意味・わかりやすい解説

シネラマ
Cinerama

大型スクリーン映画の一種。初公開は 1952年9月,ニューヨークでの『これがシネラマだ!』 This is Cinerama。シネラマは3本レンズの専用カメラを使い3本1組のフィルムでおのおの大型画像を撮影する。映写するときは3台の専用映写機で横長の大型湾曲スクリーンに映写し,3つの画面を横につなぎ合せるが,つなぎ目が気になるという欠点があった。シネラマは臨場感にすぐれているが,オーディオにも工夫が凝らされている。専用の磁気録音フィルムでスクリーンの背後や客席に多数のスピーカーを配し,臨場感を盛上げている。しかし映写がめんどうなこと,制作に莫大な費用がかかることなどから,一般に普及しなかった。

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世界大百科事典(旧版)内のシネラマの言及

【アメリカ映画】より

…テレビの脅威に対抗して映画界は〈ワイドスクリーン〉による映画の大型化を打ち出した。フレッド・ウォーラーが1952年に発表した〈シネラマ〉方式を皮切りに,《聖衣》(1953)を第1作とする20世紀フォックス社の〈シネマスコープ〉をはじめ,パラマウント社の〈ビスタビジョン〉,MGM社の〈パナピジョン〉,さらに70ミリ映画などが次々と開発され,古代史劇などのスペクタルを売物にするカラー大作が一時的に観客を映画館へと引き戻した。しかし,それは形式的な拡大にすぎず,やがて大衆に見放され,近年はめったに製作されることもなくなっている。…

【スクリーン】より

…なお,大型ネガによる純正70mmは70年代半ばで姿を消し,現在ではシネスコサイズのパナビジョンから拡大した70mmプリントが用いられている)まで,必要に応じて使いわけるようになった。
[特殊なスクリーン]
 ワイド・スクリーン映画の最初で最大のものは,1952年9月30日にニューヨークで公開されたシネラマだが,画面サイズだけでなく,スクリーンの構造も特殊だった。中央部が奥深く湾曲し,間口20mとして全長24mという巨大なスクリーンへ,3台の映写機から一斉に交差映写して,三つの画面を横に広く継ぎ合わせるという方法をとった。…

※「シネラマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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