ゲッカビジン(読み)げっかびじん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲッカビジン」の意味・わかりやすい解説

ゲッカビジン
げっかびじん / 月下美人
[学] Epiphyllum oxypetalum (DC.) Haw.

サボテン科(APG分類:サボテン科)クジャクサボテン属の植物。メキシコグアテマラなどが原産で、広く栽培され、夏の夜に幻想的な白い花を咲かせるので有名。主幹は細い円柱形で高さ約2メートルになる。枝は扁平(へんぺい)な葉状で、刺(とげ)がなく緑色。よく分枝し、6~9月に枝の縁から花を単生する。花は芳香があり、長さ25センチメートル、径12センチメートルほど。夜7時ころから開き始め、朝までにはしぼむ。花には雄しべ雌しべがそろっているが自家不和合性で、1株では果実ができない。挿木でよく繁殖する。果実は赤いラグビーボール形で、長さ約15センチメートル。夏は半日陰に置き、秋から春は日に当てたほうが花つきがよい。冬は5℃以上は必要。普通のサボテンよりも肥えた土に植え、大きく育てると大きな花を多数咲かせることができる。

湯浅浩史 2021年2月17日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ゲッカビジン」の意味・わかりやすい解説

ゲッカビジン (月下美人)
Dutchman's-pipe cactus
Epiphyllum oxpetalum(DC.)Haw.

幻想的な一夜花を咲かせるサボテン。原産地はメキシコからブラジル森林で,熱帯圏を中心に広く愛培される。葉もサボテン特有のとげもなく,古茎は樹木状に木質化し,高さ3mに育ち,多数分枝する。若い茎はコンブ状で長さ50cm以上にもなり,周辺はゆるやかに波打ち,曲がったところに刺座(しざ)がある。2年以上経た刺座から,夏から秋に数回白い大輪の花を咲かせる。夕方から開き始め,9時過ぎに満開になり,夜半を過ぎるとしぼみ始め,翌朝には完全にしぼんでしまう。花は漏斗状で,長さ20cmほど。強い芳香を放つ。花はオクラのようなぬめりがあり,三杯酢やブタ肉といためて食用にできる。繁殖は挿木による。水はけのよい腐植質に富む土に植え,夏の間は遮光するか半日陰に置き,冬は防寒し,十分日に当てる。
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