日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ケーラー(Wolfgang Köhler)
けーらー
Wolfgang Köhler
(1887―1967)
ドイツの心理学者。ゲシュタルト心理学派の代表者の一人。エストニアのリバルに生まれる。ベルリン大学のシュトゥンプの弟子。ゲシュタルト心理学の出発点となったウェルトハイマーの運動視の研究には、コフカとともに被験者としても協力した。『類人猿の知恵試験』(1917)では、動物が試行錯誤法によらず洞察によって学習することを示した。また、『物理的ゲシュタルト』(1920)では心理的現象と物理的現象の同型説を主張し、まもなくベルリン大学の教授となる。ナチスによるゲシュタルト心理学者の迫害と戦い、1934年アメリカに亡命、図形残効などについて研究するとともに、ゲシュタルト心理学の紹介に努めた。『ゲシュタルト心理学』(1929)は優れた解説書である。
[宇津木保]
『宮孝一訳『類人猿の知恵試験』(1962・岩波書店)』
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