敬虔主義(読み)けいけんしゅぎ

百科事典マイペディア 「敬虔主義」の意味・わかりやすい解説

敬虔主義【けいけんしゅぎ】

ドイツ語Pietismus(英語pietism)の訳。17世紀後半から18世紀前半のドイツで興ったプロテスタント信仰復興運動。宗教体験,実践の強調と自由な信徒集会(コレギア・ピエタティス)の形成が特徴で,ドイツ神秘主義の遺産,ピューリタニズムのドイツ的展開と見ることもできる。シュペーナーフランケツィンツェンドルフベンゲルエティンガーらの思想家を生み,ドイツ観念論,ロマン主義への影響が大きい。
→関連項目シュライエルマハーチェコ兄弟団

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精選版 日本国語大辞典 「敬虔主義」の意味・読み・例文・類語

けいけん‐しゅぎ【敬虔主義】

〘名〙 一六九〇年ごろから一七三〇年ごろ、ドイツプロテスタント教会(ルター教会)の正統主義信仰の教義化および形式化に反対して起こった信仰運動。P=J=シュペーナーによって指導され、信仰の個人的内面性、敬虔、実践性を唱えた。その影響は広くヨーロッパ社会に及んだ。

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デジタル大辞泉 「敬虔主義」の意味・読み・例文・類語

けいけん‐しゅぎ【敬×虔主義】

17世紀末から18世紀中ごろ、ドイツのプロテスタント教会の正統主義信仰の教義化および形式化に反対して起こった信仰運動。シュペーナーらによって指導され、信仰の内面性、敬虔、実践性と禁欲的生活を唱えた。

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世界大百科事典 第2版 「敬虔主義」の意味・わかりやすい解説

けいけんしゅぎ【敬虔主義 Pietismus[ドイツ]】

17世紀後半から18世紀前半にかけてドイツのプロテスタント教会に興った強力な信仰運動。三十年戦争の悲惨な体験がきびしい罪意識を生み出し,真に福音的・ルター的な信仰の再起をうながした。16世紀の〈宗教改革〉の結果が主知主義的正統主義となり,教会は領邦教会として形骸化していったとき,いわば新たな宗教改革が意図されたのである。宗教改革は〈信仰義認〉を唱えたが,敬虔主義の標語は〈生きた信仰・再生〉であった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「敬虔主義」の意味・わかりやすい解説

敬虔主義
けいけんしゅぎ

敬虔派」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内の敬虔主義の言及

【シュペーナー】より

…ドイツの敬虔主義の創始者,指導者。アルザスに生まれ,ピューリタン等の敬虔的文書を読んで育ち,シュトラスブルク大学で学ぶ。…

【神秘主義】より

…他面,テレサの心理内省的能力は,神秘体験の心理的側面を明らかにする克明な資料を残している。 その後,神秘主義は,一般の啓蒙主義およびプロテスタントの正統主義への硬化に反対して起こった17世紀末から18世紀にかけての敬虔主義の運動のうちにあらわれてくる。この運動はやがてゲーテやシュライエルマハーなどに始まる精神的展開を促す一つの契機ともなった。…

※「敬虔主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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