グラナダ(Fray Luis de Granada)(読み)ぐらなだ(英語表記)Fray Luis de Granada

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グラナダ(Fray Luis de Granada)
ぐらなだ
Fray Luis de Granada
(1504―1588)

スペインの宗教作家。俗名はルイス・デ・サリアLuis de Sarriaで、ガリシア地方出の貧しい家庭の子としてグラナダに生まれる。21歳のとき、母が洗濯女として働いていたドミニコ会修道院に入り、同会の要職をいくつか務めたあと、ポルトガルの管区長となり、リスボンで死去。キケロやクィンティリアヌスQuintilianus(35ころ―100ころ)の流れをくむ修辞色の濃い修徳書を書いたが、また同時に繊細な情感も持ち合わせており、スコラ的厳格さを旨とするドミニコ会よりも、むしろアウグスティヌス会やフランシスコ会的な作風をもっている。作品に『祈りと黙想の書』(1554)、『罪人の手引き』(1556)などがあり、後者は日本でも『ぎやどぺかどる』の名で1599年(慶長4)に抄訳された。

[佐々木孝 2017年11月17日]

『『覆刻日本古典全集 ぎやどぺかどる・妙貞問答・破提宇子・顯偽録』(1978・現代思潮社)』

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