日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
キング(William Lyon Mackenzie King)
きんぐ
William Lyon Mackenzie King
(1874―1950)
カナダの政治家。有名な政治改革者W・L・マッケンジーの孫としてオンタリオ州キッチナーに生まれる。トロント、シカゴ、ハーバードの各大学で学び、労働問題を専攻。1900年初代労働次官として政界入りし、08年自由党から議会に選出され、19年ローリエの後継者として自由党党首に就任。以後、三度首相となる(1921~26、1926~30、1935~48)。彼は、自由主義圏において最長の政権維持の記録をもっているが、彼のカナダ政治への貢献は、前半においてはイギリスからの外交上の自治を達成し、後半においては第二次世界大戦中のカナダを第一次大戦時と異なってイギリス系、フランス系による国論の分裂なしに導き、戦後ニューファンドランドのカナダ参加を達成したことに求められる。特異な個性の持ち主として知られ、「議会が決定する」をモットーに何事にも即断を避けたといわれるが、優れた政治指導者であった。
[大原祐子]