キサントソーマ(読み)きさんとそーま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キサントソーマ」の意味・わかりやすい解説

キサントソーマ
きさんとそーま
[学] Xanthosoma

サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の常緑多年草。熱帯アメリカに40種分布し、根茎を食用にするものと葉を観賞するものがある。根部は塊茎を有し、葉は長柄の先につき矢形か矛形である。観賞用のものは葉とともに葉柄も美しく、代表種アトロウィレンスは葉先が奇妙にゆがんだ形をしている。リンデニイは、葉は鮮緑色で葉脈が白く浮き出し、葉数も多い。また葉柄が濃紫色のウィオラケウムもある。栽培は、いつも温室内の日陰に置き多湿な状態を保ち、冬は15~18℃以上とする。繁殖は株分けがよく、6月にする。

[坂梨一郎 2022年1月21日]

文化史

キサントソーマ属の数種は、古くから西インド諸島および南アメリカで栽培されていた。ペルーナスカ文化(紀元1~6世紀)の土器に、その形を模したものが残されている。植民地の労働者の食糧として19世紀に西アフリカに広がり、その後、南太平洋や東南アジアに導入された。台湾の少数民族も栽培するが、多くは第二次世界大戦後にもたらされた比較的新しい作物である。タロイモやサトイモより壮大に育つが、味が悪いので、東南アジアではあまり好まれない。

[湯浅浩史 2022年1月21日]

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