ガイザー(Gerd Gaiser)(読み)がいざー(英語表記)Gerd Gaiser

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ガイザー(Gerd Gaiser)
がいざー
Gerd Gaiser
(1908―1977)

ドイツの小説家。ウュルテンベルク地方のオーバーリークシンゲンの牧師の子に生まれ、神学を学んでいたが、中途画家を志して美術学校に移り、スペイン・バロック論で学位を授与される。第二次世界大戦中は戦闘機隊員、戦後は西ドイツロイトリンゲンの高校美術学教授。1949年ごろから多くの小説で注目を浴び、自伝的要素を含む戦争や戦後の現実をモチーフに、帰還兵の問題から奇跡的復興を遂げた社会の問題に至るまでを批判的に、リアリズムとシンボリズムの手法を交えながら書いた。長編『ひとつの声もちあがり』(1950)では戦争にまつわる人間の苦悩や人間性回復を、長編『最後の舞踏会』(1958)では30のモノローグのうちに西ドイツ産業都市の経済復興の陰に隠れた仮象的世界を、短編集『ナスコンド峠にて』(1960)では、当時の政治に現れたさまざまな分裂状況を描いている。晩年寓意(ぐうい)的な作品が増えた。

深田 甫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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