カンキュウチュウ(英語表記)Clonorchis sinensis

改訂新版 世界大百科事典 「カンキュウチュウ」の意味・わかりやすい解説

カンキュウチュウ (肝吸虫)
Clonorchis sinensis

扁形動物吸虫綱の後睾吸虫科に属する寄生虫の1種。肝臓ジストマともいう。成虫の虫体は柳葉状で,体長10~25mm,体幅3~5mm,樹枝状に分岐した精巣が腹吸盤の後方に存在する。第1中間宿主はマメタニシ,第2中間宿主はコイ,フナモツゴなどの淡水魚で,これらに寄生した幼虫メタセルカリア経口摂取することによって感染する。メタセルカリアは小腸上部で脱囊し,胆汁の流れを求めて総胆管にはいり,さらに肝内胆管に侵入して感染後23~26日で成虫となり,産卵を開始する。虫卵は小型で長径約30μ,横川吸虫卵によく似ているが,小蓋と卵殻の接合部の突出,尾端の小突起,卵殻の亀甲紋様,淡黄色の色調などによって区別することができる。成虫の寄生により,胆管上皮の剝離はくり),増殖など胆管に炎症を起こし,胆管の拡張,腺腫様増殖をきたし,周囲の結合組織増生から肝硬変へと進むことがある。治療にはプラジカンテルを用いる。
寄生虫
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世界大百科事典(旧版)内のカンキュウチュウの言及

【川魚料理】より

…河川,湖沼などにすむ淡水魚を材料とする料理。コイ,フナ,アユ,ウナギ,ドジョウ,ナマズ,モロコ,ハヤ,ワカサギ,ヒガイ,カジカ,ヤマメ,イワナ,マスなどが多く使われる。近世以前,京都が日本の中心であった時代には,その地理的条件からも川魚が珍重された。とくにコイは尊ばれ,《四条流庖丁書》(1489)のごときはコイを調理することこそが料理だなどといっている。室町時代にはコイやフナの生食や,アユ,フナはもとよりのこと,ウナギ,ナマズ,ドジョウのなれずしも盛んにつくられていた。…

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