カワミドリ(英語表記)Agastache rugosa(Fisch.et Mey.)O.Kuntze

改訂新版 世界大百科事典 「カワミドリ」の意味・わかりやすい解説

カワミドリ
Agastache rugosa(Fisch.et Mey.)O.Kuntze

山の草地に生える高さ1mほどのシソ科多年草。全草にハッカに似た独特の香りがある。茎は四角形,上部で分枝し,葉の裏と共に粉白色の微細な毛がある。葉は対生し,1~4cmの葉柄があり,葉身は広卵形で長さ5~10cm,先がとがり,縁には鋸歯があり,基部は円形または心形となる。夏から秋のころ茎の上部の枝先に円柱形の花序を作って,密に紅紫色または青紫色の花をつける。花穂は長さ5~15cm,幅約2cmくらいで円柱状となる。萼は筒状で長さ5~6mm。花冠は筒状で長さ約1cm,先は4裂して下側の裂片が最も大きい。おしべは4本,花柱と共にまっすぐ花の外につき出している。分果は三稜形で上部に短毛がある。この属は東アジアと北アメリカに数種が分布する。葉を干したものを排草香(はいそうこう)といい,漢方では煎じて風邪や頭痛薬に用いる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カワミドリ」の意味・わかりやすい解説

カワミドリ
かわみどり
[学] Agastache rugosa (Fisch. et Mey.) O.Kuntze

シソ科(APG分類:シソ科)の多年草で、山地に生える。全草に強い香気がある。茎は方形で高さ1メートル前後、上部で分枝。葉は対生し、卵形で薄く、鋸歯(きょし)があり、基部は心臓形裏面の細毛は白色を帯びる。8~10月ごろ枝先に長さ10センチメートル前後の密な花穂をつくり、淡紫色の花をつける。花冠は8~10ミリメートル、先は二唇形で下唇が大きい。雄しべは4本、雌しべとともに花外に突き出る。地上部を乾かしたものを藿香(かっこう)とよび、漢方薬に用いる。日本から東アジアにかけて分布。カワミドリ属は世界に約20種あり、東アジアと北アメリカに分布する。

村田 源 2021年8月20日]

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