カリロク(読み)かりろく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリロク」の意味・わかりやすい解説

カリロク
かりろく / 訶梨勒
[学] Terminalia chebula Retz.

シクンシ科(APG分類:シクンシ科)の落葉高木。高さ15~24メートル、幹の周囲1.5~2.4メートルになり、枝を張り、丸い樹冠をつくる。葉は卵形ないし楕円(だえん)形、全縁で対生する。汚白色の花は穂状花序をなして枝先につき、花弁はなく、萼(がく)は杯(さかずき)状、雄しべは10本、子房は下位。核果は楕円形または卵形、長さ2.5~3.5センチメートルで、熟すと黒色となり、5~6条の鈍い稜(りょう)がある。ヒマラヤ地帯以南、ミャンマー(ビルマ)、マレー半島、インドネシアに分布する。アッサムやベンガル地方では高い木になるが、デカン高原やインド南部の乾燥地では低い。中国では唐以来、雲南省、広東(カントン)省南部で栽培している。果実をミロバランmyrobalan、または訶子(かし)といい、タンニンを20~40%含むので黒色染料、皮なめし、薬に用いる。中国では収斂(しゅうれん)薬として下痢、咽喉(いんこう)炎に用いる。果皮に瀉下(しゃげ)成分が含まれているので、インドでは緩下、健胃、強壮、変質剤としてよく用いられる。仏典には訶梨勒の名で種々の優れた薬効があると記されている。この名はベンガル語のharitakiの音写である。材は堅いので建築用材とする。

[長沢元夫 2020年8月20日]

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