アッサム(読み)あっさむ(英語表記)Assam

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アッサム」の意味・わかりやすい解説

アッサム
あっさむ
Assam

インド北東部の州。北部をブータンとアルナーチャル・プラデシュ州、東部をナーガランド、マニプル両州に、南部をミゾラム、トリプラ、メガーラヤの各州に、西部を西ベンガル州とバングラデシュ北部に接している。バングラデシュの国土により、インドの他地域から分離された形となっている。かつては周辺の6州を含めてアッサム州であったが、分割されて今日の形に再編成された。州都はグワハチにあったが、ディスプルという新しい州都が近くにつくられた。面積7万8438平方キロメートル、人口2663万8407(2001)、3120万5576(2011センサス)。人口密度は1平方キロメートル当り398人(2011)で、インドの州のなかでは低いほうに属する。

 ガンジス川に河口で合流するブラマプトラ川の流域とその周辺の丘陵地帯よりなり、住民はアジア(モンゴロイド)系のアッサム人よりなる。気候は熱帯モンスーン気候で、6月から9月にかけて雨期となる。年降水量は2000ミリメートル以上となり、とくにヒマラヤ山麓(さんろく)では1万ミリメートルに達して世界最多雨地帯の一つとなっている。農業が主産業で、米と茶が中心である。そのほか低地帯ではジュート(黄麻(こうま))が栽培される。茶は重要な産業で、周辺の西ベンガル州やビハール州などから茶摘み期には労働者が出稼ぎにくる。製茶業も州内の各都市にある。工業は未発達であるが、手工業によるアッサム・シルク(絹織物)は有名である。ほかにデグボイ付近では石油が採掘されている。いわゆる照葉樹林文化の発祥地であり、豊かな熱帯であるが、インドの辺境にあるため多くの民族が居住し、言語、宗教も複雑である。

[北川建次]

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旺文社世界史事典 三訂版 「アッサム」の解説

アッサム
Assam

インド東北部の州
19世紀初頭ビルマ軍が侵攻,ベンガル防衛を考えたイギリスがビルマに宣戦し,戦争の結果アッサムはイギリス領となる。いっぽう19世紀初頭にイギリスは野生の茶をアッサム地方で発見し,アッサムは茶生産の一大中心地となった。現在は原油産出で知られる。

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飲み物がわかる辞典 「アッサム」の解説

アッサム【Assam】


紅茶銘柄の一つで、インド北東部のアッサム地方に産するもの。中国種より葉が大きい。水色(すいしょく)が濃く、こくが深い。

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精選版 日本国語大辞典 「アッサム」の意味・読み・例文・類語

アッサム

(Assam) インド北東部の州。州都ディスプル。モンスーン気候で雨量が多く、茶の産地として有名。

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