オリオン(ギリシア神話)(読み)おりおん(英語表記)Ōrīōn

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

オリオン(ギリシア神話)
おりおん
Ōrīōn

ギリシア神話に登場する狩りの名人。海神ポセイドンとエウリアレの子とされているが、大地の女神ガイアから生まれたという伝承もある。オリオンの最初の妻シデは、女神ヘラと美を競ったため、冥界(めいかい)タルタロスへ投げ込まれた。妻を失ったオリオンは、のちにキオス島の王オイノピオンの娘メロペに求婚するが、野獣退治を条件に結婚を約束した王は、その約束を守るどころか、ディオニソス神の助力を得てオリオンを酔わせ、眠っている間にその目を突き刺して盲目にした。しかし彼は、神託に従ってヘファイストス神の鍛冶場(かじば)から少年をさらって肩に乗せ、太陽の昇る方向を目ざして進んで行き、やがてアポロンの放つ陽光を受けてふたたび視力を取り戻すことができた。彼は王に復讐(ふくしゅう)を果たすためキオス島へ引き返したが、王はヘファイストス神につくってもらった地下の部屋に逃げ込んだので、ついに復讐は果たせなかった。

 のちにオリオンはアルテミス女神に仕えるが、あるとき情欲を抱いて彼女を犯そうとしたため、怒った女神が送った巨大なサソリに刺されて死んだ。またこれには曙(あけぼの)の女神エオスとオリオンが恋仲になったため、アルテミス女神が嫉妬(しっと)してサソリを差し向けたという異説もある。オリオンは死後星座となったが、オリオンを倒したサソリも同じく星座となったため、天上に昇ってもなおオリオン座は、さそり座から逃げ回っているといわれる。

[小川正広]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android