日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィリアム(4世)」の意味・わかりやすい解説
ウィリアム(4世)
うぃりあむ
William Ⅳ
(1765―1837)
イギリス国王(在位1830~37)。ジョージ3世の三男として生まれ、若くして海軍に入った。1789年クラレンス公に叙される。1830年6月、兄ジョージ4世の死により王位を継承。個人的には選挙法改正に消極的であったが、同年11月に改正派のホイッグ党グレー内閣が成立すると、同内閣を支持した。32年5月、改正反対派による組閣を試みたが、世論の反対で失敗。以後ふたたびグレー内閣を支持し、貴族院の抵抗を抑えて6月に選挙法改正法を成立させた。次のメルバーン内閣が提案した政策にしばしば抵抗し、34年には保守党のピールを首相としたが、35年の総選挙におけるメルバーンの勝利をみて、政治の主導権はもはや国王にはないという事実を認めるに至った。彼の死後、姪(めい)のビクトリアがイギリスの王位を継承した。
[青木 康]