日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アーマー(Armour & Company)
あーまー
Armour & Company
アメリカ有数の食肉製造加工会社(ミートパッカー)であったが、1970年代以降の企業買収を経て、現在はアーマー・スウィフト・エックリッチArmour Swift-Eckrichとして、加工食品製造の大手企業コナグラ・フーズの傘下にある。
1867年、フィリップ・アーマーPhilip D. Armour(1832―1903)がシカゴに設立した豚肉包装会社が創業企業。1869年、カンザス・シティに牛の食肉処理場を開設して製品に牛肉を加え、1878年には精肉缶詰業に進出、1885年に燻製(くんせい)肉の生産を始め、1891年には初のドライ・ソーセージの生産を開始した。1929年にはラジオ全国放送での定期的なCM放送を開始、自社ブランドつきの牛肉を発売するなど、マーケティング面で業界の先陣を切った。
第二次世界大戦後、1960年代にかけて多角化を進め、膠(にかわ)、医薬品、肥料、せっけん、アンモニア、工業薬品などの製造を手がけた。その後、コングロマリットによる吸収合併活動が活発化するさなか、1970年、長距離バス輸送などで知られた複合企業グレイハウンドGreyhound Corp.に買収され、その子会社となるが、1983年にコナグラ(後のコナグラ・フーズ)がグレイハウンドからアーマーを買収、コナグラの食肉加工事業の中核とした。1990年にはコナグラが食品大手のベアトリス・フーズの関連事業を買収したのち、ベアトリス傘下のエスマーク(1977年スウィフトから社名変更)、エックリッチとアーマーを統合、食肉加工子会社アーマー・スウィフト・エックリッチを設立した。
[田口定雄]