世界大百科事典 第2版 の解説
アンゲルス・ジレージウス【Angelus Silesius】
ドイツ・バロック時代の神秘主義的宗教詩人。本名Johann Scheffler。各地で医学を学び,故国の宮廷侍医となるが,その間タウラー,ベーメ等の神秘主義者の著作に親しんだため,厳格なプロテスタント一派から退けられ,1653年カトリックへ改宗した。オーピッツの詩学を宗教詩に適用したチェプコDaniel von Czepko(1605‐60)にならって,アレクサンドリーナー詩格2行からなるエピグラム集《ケルビン天使風のさすらい人》(1675)を著したが,そこには彼の宗教的苦悩や信仰告白を通じた神の体験,精神と神との一体化が,神秘主義的・自然哲学的イデーとともに簡明に美しく表出されている。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報