日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アラマン(メキシコの政治家、実業家、歴史学者)
あらまん
Lucas Alamán
(1792―1853)
メキシコ保守主義を代表する政治家、実業家、歴史学者。鉱山都市グアナフアトの名門に生まれたが、1810年イダルゴの反乱で略奪を受け財産を失った。のちヨーロッパへ留学し、1820年代以後、イギリス資本の導入による鉱山業の復興と近代化に努めた。政治的には自由主義に反対し、王制または少数エリートによる強力な中央集権制、親カトリック、産業保護、富国強兵、親ヨーロッパ・反アメリカ外交などを主張した。1823年には王制樹立のため奔走し、1830~1832年にはブスタマンテ政権に入閣、勧業銀行を設立して繊維工業の育成などに努力した。1853年には強力な中央集権国家を夢みてサンタ・アナの独裁政治に協力した。『メキシコ史』5巻ほか多数の著書がある。
[野田 隆]
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