アマデオ(1世)(読み)あまでお(英語表記)Amadeo I

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アマデオ(1世)」の意味・わかりやすい解説

アマデオ(1世)
あまでお
Amadeo I
(1845―1890)

スペイン王(在位1870~1873)。5月30日イタリア王ビットリオ・エマヌエレ2世の次男として生まれる。イタリアでアオスタ公。1868年の九月革命でイサベル2世が追放されて空位となった王位に、ヨーロッパ諸王家の候補者のなかから議会により選ばれて即位した。軍のクーデターのみならず都市民衆の蜂起(ほうき)によって九月革命が成功した結果、男子普通選挙権を含む政治的権利の拡大、信教の自由承認、極端な中央集権制の是正などの諸改革が行われ、民主的な立憲君主制がもたらされた。しかし、軍の支持を失う一方で、第三次カルリスタ戦争勃発(ぼっぱつ)(1872)、インターナショナル・スペイン連合の創立(1870)にみられる民衆運動の高揚、保守派、立憲王政派から共和派までの多様な政党間の対立などのため、アマデオ治政下のスペインはきわめて不安定であった。彼は積極的には政治に関与せず、諸政党の支持も得られず、混乱のなかで1873年2月に退位した。退位後イタリアに戻りふたたびアオスタ公となった。1890年1月18日トリノで死去した。

[中塚次郎]

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