精選版 日本国語大辞典 「ん・ン」の意味・読み・例文・類語
ん【ん・ン】
〘名〙 五十音図の格外に置かれ、五十音順では最後の第四十八位(同音のかなの重複を含めるとき、第五十一位)として扱う。いろは歌には含まれないが、いろは順では「す」のあとに置いて第四十八位とし、「ウン」と唱える。現代標準語の実際の発音では、語中では、あとにくる音節の子音によって、両唇を閉じた m、舌先と上の歯茎とで閉鎖を作った n、奥舌面と軟口蓋とで閉鎖を作った ŋ、母音 i u などの口形をとりながら軟口蓋の閉鎖をゆるめて鼻腔を共鳴させる ĩ ũ など、また、語尾では、奥舌と軟口蓋との閉鎖をゆるくした N など、各種の変化した形で現われるが、これらは共通に通鼻音であることを特性とし、音韻論上では一個の音素と認められる。これを撥音またははねる音といい、それだけで一音節をなし、他の子音や母音と結合して音節を形成することがない。「ん」の字形は、「无」または「毛」いずれの草体にも起源が求められる。「ン」の字形は、撥音を象徴した記号からとも、「爾」の古体「尓」の初二画から転じたものともいうが確かでない。ローマ字では、「ローマ字のつづり方」(昭和二九年内閣告示)では、はねる音「ン」はすべて n と書くこととし、次にくる母音字や y と切り離すためには、hon'yaku のように n の次に ' を入れることとしている。いわゆる標準式(ヘボン式)では、m p b の前の撥音を m にする。
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