わたり

精選版 日本国語大辞典 「わたり」の意味・読み・例文・類語

わたり

〘名〙 きのこ「つきよたけ(月夜茸)」の異名
今昔(1120頃か)一二「和多利と云ふ茸(くさびら)必ず死ぬる物也」

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知恵蔵 「わたり」の解説

わたり

国家公務員(主にキャリア官僚)が出身省庁と関連の深い団体・企業に再就職することを「天下り」という。就職をあっせんするのは、早期退職勧奨を慣行にしている各省庁サイド。これまで「天下り」には各種の規制が設けられてきたが、人事院が承認すれば違法にはならなかった。官僚OBがこうした「天下り」を繰り返すことを「わたり」という。渡り鳥がすみかを求めて居場所を転々とすることから、こう名付けられた。国家公務員制度の抜本改革が叫ばれて久しいが、「わたり」だけでも過去3年間(2006~08年)で11省庁32件が報告されている(09年1月政府答弁)。再就職先は国の補助金で支えられている公益法人が大半なため、予算を握る省庁の押しつけ、官製談合温床などという批判に加え、行く先々で多額の退職金を得ている元官僚への国民の目も厳しさを増している。07年、政府は国家公務員法を改正し、新設する官民人材交流センターに再就職のあっせんを一元化させることにした。これにより「わたり」を含む省庁主導の再就職あっせんは廃止され、さらに政府は有識者からなる再就職等監視委員会の設置を提案し、中立性の確保や運用の厳格化も強調した。だが閣議決定された政令には、3年間の移行期間中は監視委員会の承認があれば、省庁が再就職をあっせんできるという「抜け道」が盛り込まれており、事実上骨抜きの状態になっている。これに野党から批判が集中し、また監視委員会の人事をめぐっても紛糾した。08年末、政府は監視委員会に代わって首相が直接あっせんの承認の権限をもつという政令を決定。その後、麻生首相は官僚OBの「わたり」を承認しないという政府方針を発表したが、例外規定を含んだ「政令」の撤廃には踏み込んでいない。

(大迫秀樹 フリー編集者 / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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