たし(読み)タシ

デジタル大辞泉 「たし」の意味・読み・例文・類語

たし[助動]

[助動][(たく)たから|たく・たかり|たし|たき|たけれ|○]《形容詞「いたし」の音変化という》動詞、および助動詞「る」「らる」「す」「さす」「しむ」の連用形に付く。
話し手の希望を表す。…たい。
「近う参って、見参げんざんにも入りたかりつれども」〈平家・一〇〉
話し手の他に対する希望や期待を表す。…てほしい。
「ありたきことは、まことしきふみの道、作文和歌管絃の道」〈徒然・一〉
話し手以外の人の希望を表す。
「屋島へ帰りたくは、一門の中へ言ひ送って、三種の神器を都へ返し入れ奉れ」〈平家・一〇〉
[補説]「たし」は「まほし」に代わって、鎌倉時代に盛んに用いられたが、近世以降「たい」に引き継がれる。現代では「今月末までに上京されたし」といった文語調の文に用いられることもある。

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精選版 日本国語大辞典 「たし」の意味・読み・例文・類語

た‐・し

(完了の助動詞「たり」に過去の助動詞「き」の連体形「し」の付いた「たりし」が変化したもの。「たっし」の促音無表記) 過去または完了の意を表わす。終止形と連体形しか活用形を持たない。
史記抄(1477)七「項王が虞姫に対して歌て酒を飲たしも、此時なり」

たし

〘助動〙 ⇒たい

た・し

〘接尾〙 ⇒たい

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普及版 字通 「たし」の読み・字形・画数・意味

紫】たし

紫衣

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