たが屋(読み)たがや

改訂新版 世界大百科事典 「たが屋」の意味・わかりやすい解説

たが屋 (たがや)

古くから口演された江戸落語。両国川開きの日,橋の上は混雑をきわめ,打上げ花火に〈玉屋(たまや)!〉と掛声が飛んでいた。そこへ通りかかったのが一人のたが屋。道具箱にかけてあった竹のたがが,ふとしたはずみではずれてしまい,するするとのびて,おりから来かかった馬上武士の笠をはね飛ばした。激怒した武士が,平謝(ひらあやま)りに謝るたが屋を手討ちにしようとすると,必死になったたが屋が武士の刀をもぎとって,逆に武士の首を中天高く斬り飛ばした。見物人たちがいっせいに,〈あがった,あがった,あがった,たがやーい〉。
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世界大百科事典(旧版)内のたが屋の言及

【落語】より

… しぐさ落ち自分の寿命をしめす蠟燭を継ぎ足そうとした主人公が,〈ああ消える〉といって倒れる《死神》のように形で見せる落ち。 地口(じぐち)落ち《たが屋》が一例。両国川開きの日,〈玉屋,玉屋〉という花火のほめ声のなかへたが屋が通り,竹のたがで武士の笠をはねた。…

※「たが屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」