デジタル大辞泉
「あえしらう」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
あえ‐しら・う あへしらふ
[1] 〘自ハ四〙 (相手の話が引き立つように)相手をする。調子を合わせる。あいづちを打つ。応答する。
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一〇月一六日「
筑前の
命婦は〈略〉など思ひいでていふを、ゆゆしきこともありぬべかめれば、わづらはしとて、ことにあへしらはず、
几帳へだててあるなめり」
[2] 〘他ハ四〙
① (他人の相手をして)適当にもてなす。あしらう。程よく処理する。接待する。
※
蜻蛉(974頃)上「目も見あはせず、思ひいりてあれば、などか、世の常のことにこそあれ。いとか
うしもあるは、
われをたのまぬなめりなどもあへし
らい」
② (味などを引き立たせたりするために)取り合わせる。付け合わせる。配合する。
※蜻蛉(974頃)上「きりおほね、物のしるして、あへしらひてまづいだしたり」
[語誌](1)「あえ(あへ)」は下
二段動詞「あう(あふ)→あえる(合・和・韲)」の連用形、「しらう(しらふ)」は「たがいに
物事をし合う」の意で、たがいの
調和をはかることを
原義とする。
(2)中古の仮名作品では「あへしらふ」の形が優勢であるが、鎌倉期以後の作品では「あ
ひしらふ」の形に変化する。なお「醍醐寺本遊仙窟康永三年点」には「会 アヘシラヘ(〈別訓〉シラヒ)」とあり、下二段と思える例もあるが、
語尾の「ひ」が「へ」に変化したものであろう。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報