〓台寺(読み)れんだいじ

改訂新版 世界大百科事典 「〓台寺」の意味・わかりやすい解説

台寺 (れんだいじ)

京都市北区にある真言宗智山派の寺。蓮華金宝山と号する。正称は上品(じようぼん)蓮台寺,俗に九品三昧院(くぼんざんまいいん)また十二坊という。京都の葬送地の一つ,船岡山の西の蓮台野にあり,葬送菩提の寺として栄えた。10世紀中ころに寛空が創建した香隆寺の後身で,嵯峨清凉寺の本尊釈迦如来像は,987年(永延1)奝然(ちようねん)が中国から持ち帰ったとき,最初は当寺に安置された。応仁の乱で回禄したが,文禄年間(1592-96)豊臣秀吉の援助で再興。江戸時代には寺領110石,境内塔頭(たつちゆう)12寺を数えた。現在は真言院,宝泉院,大慈院が存する。境内に仏師定朝の墓,真言院に空海の母阿刀(あと)氏の塔と源頼光の塚,大慈院に金工の後藤祐乗と国学者富士谷成章(ふじたになりあきら)・御杖(みつえ)父子の墓がある。寺宝のうち,紙本著色《絵因果経》は国宝
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台寺[温泉] (れんだいじ)

静岡県下田市にある温泉。単純泉,54℃。稲生沢(いのうさわ)川の支流大沢川の河岸にある。行基の発見と伝えられ,古くから付近の人々や下田街道(現,国道414号線)を行く旅人に親しまれてきた。一帯は約700年前に廃寺となった蓮台寺跡で,温泉として広く知られるようになったのは,1961年伊豆急行線が開通してからである。権現湯,薬師湯などの源泉があり,湯量は豊富で下田温泉にも送っている。温泉の奥に金山があったが,現在は休止している。付近には,幕末海外渡航を企てた吉田松陰隠れ家や,唐人お吉が身を投げたといわれるお吉が淵が残っている。伊豆急行線蓮台寺駅に近い。
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世界大百科事典(旧版)内の〓台寺の言及

【下田[市]】より

…現在は観光と結びついた商業・サービス業などの従業者が就業人口の約7割を占める。大旅館は下田,蓮台寺,柿崎に,民宿は白浜,須崎,田牛(とうじ)に多い。市内各地区の温泉旅館に湯を供給する蓮台寺温泉は泉温54℃の単純泉で,源泉数は河内地区も含め55である。…

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