アンゲルスジレージウス(英語表記)Angelus Silesius

改訂新版 世界大百科事典 「アンゲルスジレージウス」の意味・わかりやすい解説

アンゲルス・ジレージウス
Angelus Silesius
生没年:1624-77

ドイツ・バロック時代の神秘主義的宗教詩人。本名Johann Scheffler。各地で医学を学び,故国の宮廷侍医となるが,その間タウラー,ベーメ等の神秘主義者の著作に親しんだため,厳格なプロテスタント一派から退けられ,1653年カトリックへ改宗した。オーピッツの詩学を宗教詩に適用したチェプコDaniel von Czepko(1605-60)にならって,アレクサンドリーナー詩格2行からなるエピグラム集《ケルビム天使風のさすらい人》(1675)を著したが,そこには彼の宗教的苦悩や信仰告白を通じた神の体験,精神と神との一体化が,神秘主義的・自然哲学的イデーとともに簡明に美しく表出されている。牧人の姿をかりてカトリックの立場からイエスを賛美した詩集《聖なる魂の喜び》(1657)や55編のプロテスタント論難集は,敬虔主義の詩人たちに多大の影響を与えたものの,その後ロマン派が再発見するまで忘れ去られた。しかしながら彼の作品のいくつかは,今日においても教会賛美歌集や学校教科書に採用されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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