SPECT検査(読み)すぺくとけんさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「SPECT検査」の意味・わかりやすい解説

SPECT検査
すぺくとけんさ

核医学検査の一種で、体内の情報断層像として収集する検査。体内に微量の放射性医薬品を投与し、その薬が集積した部位から出される微弱な放射線を計測し、集積の分布を画像化する。SPECTは単一光子放射断層撮影single photon emission computed tomographyの略。単一光子は放射性同位体(radioisotope:RI)の崩壊に伴い放出される光子であるγ(ガンマ)線が一つであることを示している。シングルフォトン断層撮影ともよばれる。

 γ線を検出して画像化するγカメラを用いてデータを収集する。平面的にデータを収集するシンチグラフィのプラナー画像では1方向のみのγカメラで撮影されるため重なりのある画像となるが、SPECT検査では体の複数の方向からデータを収集することにより前後の重なりがない断層像が得られる。脳において血流が低下している部位を調べ認知症や血管障害の診断を行う「脳血流SPECT」、虚血もしくは梗塞(こうそく)になっている心筋を評価する「心筋血流SPECT」などが臨床でよく用いられる。

 CT装置を組み込んだ「SPECT-CT」ではCTとSPECTの融合画像が得られ、SPECTで得られる機能代謝の情報をCT画像の詳細な解剖情報とあわせて診断に用いることが可能である。

桐生 茂 2021年8月20日]

『久保敦司他著『核医学ノート』第6版(2019・金原出版)』

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