KTX(読み)けーてぃーえっくす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「KTX」の意味・わかりやすい解説

KTX
けーてぃーえっくす

韓国鉄道公社の高速鉄道システム。Korean Train Expressの略。フランスの高速鉄道TGV(テージェーベー)の技術を導入して開発された。車両はKTX-ⅠとKTX-山川(さんせん/サンチョン)の2種類がある。KTX-Ⅰは、フランス、アルストム社製の輸入車両と、韓国の現代ロテム社で主要部品を輸入して製作されたものがある。一方、2010年に導入されたKTX-山川は現代ロテム社製の国産車両である。車体ヤマメ(韓国語で山川魚)をかたどった流線型で、KTX-Ⅰを改良、高性能化したものである。KTX-Ⅰは20両編成、KTX-山川は10両編成で、どちらも電動車は編成の両端に配置され、軽量化のために連接台車を採用している。両者とも最高速度は時速330キロメートルで設計されているが、実際は時速305キロメートルで運行されている。

 幹線鉄道の京釜(けいふ/キョンブ)線(ソウル―釜山(ふざん/プサン))の輸送力を強化するために、1992年に京釜高速鉄道が着工された。2004年にソウル―東大邱(ひがしたいきゅう/トンテグ)間の高速専用線が開通し、在来線の東大邱―釜山を経由するKTXが運行されるようになった。2010年には東大邱―釜山間でも高速線が開通し、ソウル―釜山は高速線のみを経由する列車によって最速で2時間9分で結ばれた。在来の特急セマウル号の場合、同区間の所要時間は4時間10分であり、高速線により2時間短縮されたことになる。韓国鉄道公社は全国を2時間台でつなぐことを目標としており、KTXは湖南(こなん/ホナム)線(ソウル―光州(こうしゅう/クァンジュ)、木浦(もくほ/モッポ))、全羅(ぜんら/チョルラ)線(ソウル―全州(ぜんしゅう/チョンジュ)、麗水(れいすいヨス))、慶全(けいぜん/キョンジョン)線(ソウル―咸安(かんあん/ハマン)、晋州(しんしゅう/チンジュ))などの在来線にも運行される。列車名称はKTXで統一されており愛称はない。2014年には首都高速線、空港鉄道線、東海南部線でもKTXが運行される予定である。

[武井 一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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