龍穴神社(読み)りゆうけつじんじや

日本歴史地名大系 「龍穴神社」の解説

龍穴神社
りゆうけつじんじや

[現在地名]室生村大字室生

室生寺の東方、杉の巨樹が林立する森に鎮座祭神たかおかみ神。旧村社。「延喜式」神名帳の宇陀うだ郡「室生龍穴神社」にあたる。

〈大和・紀伊寺院神社大事典〉

〔祈雨の神〕

社前を流れる室生川は宇陀川・名張なばり川・木津きづ川と曲流してよど川から大阪湾へ注いでおり、水源に鎮座する当社は祈雨の神として国家的崇敬を受けていた。竜穴は竜王のいます穴とされ、日本古来の水の神信仰が大陸文化の影響によって転化したものである。当社後方山中には渓流に沿った岩壁に竜穴と称せられる岩屋があり、ここで請雨祭祀が行われた。なお中世武士赤埴氏の系図および旧記(ともに「大和志料」所収)には、室生竜穴は須世理姫すせりびめ命のこもった旧跡とされ、延暦九年(七九〇)須世理姫命すせりびめのみこと社は現奈良県榛原町赤埴あかばね鎮座の白岩しらいわ神社に遷座したことがみえる。「大和志料」は、当社は旧来この須世理姫命を祀ったものであったが、のちに室生山(室生寺)を開基するにあたって、それを赤埴に移し、旧地に漢土の竜穴に擬して雨師神を祀ったと推察する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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