黒髭(読み)クロヒゲ

デジタル大辞泉 「黒髭」の意味・読み・例文・類語

くろ‐ひげ【黒×髭】

能面の一。顔全体が強くしゃくれ、口を大きく開けて、あごを突き出した面。竜神を表し、「春日竜神」などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「黒髭」の意味・読み・例文・類語

くろ‐ひげ【黒髭】

〘名〙
① 黒いひげ。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「今まで眼前に隠見(ちらつい)てゐた母親の白髪首に斑な黒髯が生えて…課長の首になる」
② 能面の一つ。神体を現わす「大飛出(おおとびで)」に似、口を大きく開けて顎を突き出し、口髭を逆さまに黒く描いたもので、龍神を現わす。「春日龍神(かすがりゅうじん)」「大蛇(おろち)」などに用いる。

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世界大百科事典(旧版)内の黒髭の言及

【能面】より

…(2)は口を開いた阿(あ)形と,閉じた吽(うん)形に分けることができ,前者には飛出(とびで)の,後者には癋見(べしみ)の諸面があり,年たけて威力のある悪尉の諸種もここに入れてよいであろう。ほかに阿形では天神,黒髭(くろひげ),顰(しかみ),獅子口など,吽形では熊坂(くまさか)がある。能面の鬼類では女性に属する蛇や般若,橋姫,山姥(やまんば)などのあることが特筆される。…

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