黒皮症(読み)コクヒショウ(英語表記)melanosis

翻訳|melanosis

デジタル大辞泉 「黒皮症」の意味・読み・例文・類語

こくひ‐しょう〔‐シヤウ〕【黒皮症】

顔面などの皮膚色素沈着のために黒ずんで、褐色や紫灰色などを呈する症状化粧品などに含まれる化学物質や、過敏な体質などが原因とされる。女子に多く、女子顔面黒皮症ともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「黒皮症」の意味・読み・例文・類語

こくひ‐しょう ‥シャウ【黒皮症】

〘名〙 メラニン色素が異常に蓄積して皮膚が黒褐色ないし灰褐色を呈する疾患。原因は、化粧品に含まれる色素による接触皮膚炎反復砒素剤の長期服用などのほか、内的因子影響も大きい。

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改訂新版 世界大百科事典 「黒皮症」の意味・わかりやすい解説

黒皮症 (こくひしょう)
melanosis

瀰漫びまん)性のメラニン色素の沈着により皮膚が黒褐色,灰褐色調を呈するものをいう。全身性のものとしては,ヒ(砒)素黒皮症,慢性副腎皮質不全症であるアジソン病患者や,末期の悪性黒色腫患者の皮膚などにみられるが,いずれもきわめてまれなものである。主として中年期以後の女性の顔面にみられる女子顔面黒皮症melanosis faciei femininaは,第1次大戦直後にオーストリアで多発し,リールG.Riehlによって報告された。日本でも第2次大戦後に多くの症例がみられ,リール黒皮症,戦争黒皮症とも呼ばれる。原因は,粗悪な化粧品に含まれる鉱物性油脂に紫外線の照射が加わって,皮膚の炎症症状をおこし,表皮のメラニン色素が真皮内に落ちて,長くとどまるためと考えられている。最近ではほとんどみられない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒皮症」の意味・わかりやすい解説

黒皮症
こくひしょう
melanosis

全身あるいは一部の皮膚に後天性に色素が沈着して,黒褐色,褐色,紫灰色などを呈した状態。アジソン病では生理的に色素の多い部位に顕著な沈着がみられるが,本症ではそれ以外に手掌,足底,口腔粘膜などにも高度の色素沈着を認める。リール黒皮症あるいは女子顔面黒皮症と呼ばれる疾患では,女子の顔面に 瘙痒性の紅斑落屑性病変が生じ,のちに紫灰色の色素沈着をみる。発赤や小丘疹を伴うこともある。病因の多くは化粧品かぶれである。

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