黒田坂(読み)くろだざか

日本歴史地名大系 「黒田坂」の解説

黒田坂
くろだざか

[現在地名]名張市安部田

文治五年(一一八九)一二月五日の信濃中子溝田荒野売券(百巻本東大寺文書)に記す中子先祖相伝の私領であった溝田・荒野は、「黒田御庄本庄内字黒田坂南脇」にあった。この黒田坂は坂下さかんそから笠間かさま峠に登る坂と思われる。黒田庄から奈良への通路はこの笠間峠越が最短距離となるため東大寺との主要交通路であった。弘安五年(一二八二)一〇月日の東大寺衆徒等申状案(東大寺文書)に「伊賀国黒田坂山賊」がみえる。嘉暦三年(一三二八)覚舜・仏念およびその縁者の金王兵衛盛俊・青蓮寺七郎父子・簗瀬九郎らの黒田悪党一味は、東大寺使を荘内から追放し黒田坂に追詰めて殺害、御輿所善住法師を刃傷せしめ、そのうえこの坂を通行止にして寺使の荘内への立入を妨げようと神水起請をした(嘉暦三年一〇月日「東大寺衆徒等重申状土代」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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