麻薬性の植物毒(読み)まやくせいのしょくぶつどく(英語表記)Narcotic plant toxins

六訂版 家庭医学大全科 「麻薬性の植物毒」の解説

麻薬性の植物毒
まやくせいのしょくぶつどく
Narcotic plant toxins
(食中毒)

 この項目に入る植物は、しばしば社会問題となる幻覚(げんかく)・麻酔を起こす成分を含んでいるので、一般の使用は法律で禁止されています。

①ケシ

 ケシ科に属し、この項目に入る最も有名な植物のひとつで、アヘンアルカロイドを含みます。ケシの未熟果実の乳液を固めたものがアヘンと呼ばれます。その主成分はモルヒネで、そのほかにテバイン、コデインなどを含みます。

 モルヒネは、鎮痛・麻酔性の医薬品として重要ですが、習慣性も強くモルヒネ中毒を起こします。そのジアセチル誘導体はヘロインと呼ばれ、鎮痛・麻酔性も習慣性も高まり、ヘロイン中毒は最も治療の難しい麻薬中毒といわれています。

②インド大麻

 クワ科の植物で雌雄異株(しゆういしゅ)です。受精後の雌株(めかぶ)に麻酔成分を含む樹脂が分泌され、この樹脂をインドではハシッシュ、欧米ではマリファナと呼んでいます。通常は、この未熟の果穂を含む枝先および葉が混在したものをタイマと呼んでいます。麻酔性の成分はTHCA(テトラヒドロカンナビノール)であり、幻覚性、習慣性をもっています。

③コカ

 コカノキ科の植物で、その葉に局所麻酔性のコカインを含みます。南米ペルーでは、その葉は飲用として認可されています。

④ウバタマ

 サボテンの一種ペヨーテとも呼ばれ、幻覚症状を起こすメスカリンを含んでいます。したがって、ウバタマ栽培は禁止されています。しかし、子吹ウバタマにはメスカリンが含まれていないので、栽培は認可されています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報