鹿をさして馬と為す(読み)しかをさしてうまとなす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿をさして馬と為す」の意味・わかりやすい解説

鹿をさして馬と為す
しかをさしてうまとなす

人を威圧したり、だましたりして、間違ったことや理屈にあわないことを押し通すこと。中国、秦(しん)の始皇帝没後宦官(かんがん)の趙高(ちょうこう)が幼少の胡亥を擁立して2代皇帝とし、自身は丞相(じょうしょう)となって権勢をほしいままにした。ついには皇位をうかがうに至り、ある日、自分の勢力を試そうとして、鹿を馬といって胡亥に献上し、その無理を押し通したが、趙高の威を恐れてだれひとり反対する者はいなかった、と伝える『史記』「秦始皇紀」の故事による。

[田所義行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android