鳥屋・塒(読み)とや

精選版 日本国語大辞典 「鳥屋・塒」の意味・読み・例文・類語

と‐や【鳥屋・塒】

〘名〙
① 鳥を飼って入れておく小屋。鶏や種々の鳥を飼う小屋をさすが、特に鷹を飼育するための小屋をいうこともある。鳥小屋
肥前風土記(732‐739頃)養父「鳥屋(とや)を此の郷に造り、雑の鳥を取り聚めて、養ひ馴づけて」
② 鷹の羽が夏の末に抜け落ち、冬になって生え整うこと。この間①にこもるところからいう。その回数によって鷹の年齢を数え、三歳あるいは四歳以上の鷹、または四歳の秋から五歳までの鷹を特に称するともいう。
※禰津松鴎軒記(室町末か)「鷹の年を見るやう。一とや二とやなれば爪の上に色黒く、そこ色あかし」
③ (②の、鷹の羽が抜けることにたとえていう) 遊女などが梅毒のために頭髪の抜け落ちること。転じて、梅毒。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)三「すべて勤をする女、鳥屋(トヤ)をせざる中は、本色の遊女とせず」
歌舞伎の劇場で、花道揚幕の内部にある小部屋。役者が花道から舞台に出る前に小憩する所で、もとは狭くて①に似ていたところからいう。転じて、出を待つの意から、役者・芸人などが地方巡業の時、不入りのため収支がつぐなわず、または、次の乗込み先に故障があったりして、その土地に無駄な滞在をすることをいう。
※歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)一「胴八、万平みなみな車を引、鳥井の内へは入。ト向ふとやにて」
⑤ 鳥などを捕えるために、その時機を待って、人がこもっている小屋。ツグミなどの小鳥を捕えるために山中に設けた小屋。また、そこで鳥を捕えること。古くは、鷹打(たかうち)のための小屋をさした。《季・秋》
河東節・信田妻釣狐の段(1853)「したくの罠を掛置て、側のとやに入り野干の来るを待居たり」
⑥ 檻。
サントスの御作業(1591)一「タケキ シシワウ ノ toya(トヤ) ノ ウチ エ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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