高適(こうせき)(読み)こうせき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高適(こうせき)」の意味・わかりやすい解説

高適(こうせき)
こうせき
(707?―765)

中国、唐代盛期の詩人。「こうてき」とも読む。字(あざな)は達夫。滄州(そうしゅう)(河北省)の人。豪放な性格で、若いときには生業に従わず、河南に放浪して李白(りはく)、杜甫(とほ)と交わった。40歳のころ有道科に推挙されて封丘(河南省)の尉となり、安禄山(あんろくざん)の乱後には彭(ほう)州、蜀(しょく)州(ともに四川(しせん)省)の刺史(しし)として、成都に流れてきていた杜甫と旧交を温めた。のちに剣南節度使を経て、刑部侍郎、散騎常侍(さんきじょうじ)に進んだ。その詩は豪壮にして沈痛、辺境の苦しみや戦争の悲惨さを詠じた辺塞詩(へんさいし)に長じ、岑参(しんしん)とともに盛唐詩の一面を代表する。『高常侍集』8巻には240余編の詩と21編の散文を収める。『新唐書』の伝に、50歳を過ぎて詩を学んだとあるのは誤伝である。

[黒川洋一]

『鈴木修次著『唐代詩人論 上』(1973・鳳出版)』『小川環樹編『唐代の詩人――その伝記』(1975・大修館書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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