骨歯角器文化(読み)こっしかくきぶんか(英語表記)osteodontokeratic tool industry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「骨歯角器文化」の意味・わかりやすい解説

骨歯角器文化
こっしかくきぶんか
osteodontokeratic tool industry

最も原始的な道具として骨,歯,角を使用したという考えから,R.ダートが唱えた文化の一形態。華奢型のアウストラロピテクスが出土した南アフリカマカパンスガト遺跡から,多数の骨,歯,角が採集されたが,それらのなかには道具として使用された跡が残っているものがあった。ダートは,これらのものが,斧,短剣,掘具,鋸,さじ,削器,包丁などに使用されたとみなした。サルからヒトに移り変る際の原始人類が,石器の前に,骨,歯,角のような,すぐ使える素材から道具をつくったであろうことは,多くの人類学者の認めるところとなっている。この骨歯角器文化は南アフリカのステルクフォンテーンやタンザニアのオルドバイ第1床からも発見されており,これらは約 200万年以前のものとみなされている。このことは原人類がこれまで考えられていた以上に複雑な文化を有するものであることを示唆している。原人類の段階では,周口店やスペインのトラルバにおけるものが好例である。特に後者では象牙を用いた各種器物が発見されている。後期旧石器時代になると,骨や角から,尖頭器,銛,目のある針,ヘアピン,ペンダントがつくられ,歯は首飾りとして用いられている。新旧各時代における骨歯角器文化が一貫したものかどうかはわかっていない。近来,これらの道具の使用痕を顕微鏡的に検査して,その製作法や使用法についての知見を得ようとする試みが重ねられている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android