馴染（読み）なじみ

精選版 日本国語大辞典

な‐じみ【馴染】

〘名〙 (動詞「なじむ（馴染）」の連用形の名詞化)

① なれしたしむこと。また、そのもの。

(イ) 人についていう。

※平治（1220頃か）下「年来の御なじみに〈略〉なき御跡を問ひ奉らむ」

(ロ) 物や場所などについていう。

※雑俳・軽口頓作（1709）「ひかります・火桶なじみのかかったの」

② 特に長年親しく連れそった夫婦の夫または妻。

※天理本狂言・塗師（室町末‐近世初）「われらもなじみにはなれまらしてめいわくいたす」

③ 遊里で、同じ遊女のもとに通いなれること。また、その者。遊女の側からも、客の側からもいう。特に、江戸吉原などでは同じ遊女のもとへの三回目の登楼には、特に祝儀を出すなどしたが、以後、なじみとして特別の待遇をうけた。

※評判記・赤烏帽子（1663）玉井兵之助「手ぐだ一向しらず、なしみの徳とて一つも二つもゆかるるふしぎなり」

出典　精選版 日本国語大辞典