飛支路(読み)ひだしろ

日本歴史地名大系 「飛支路」の解説

支路
ひだしろ

東山道から分れ飛騨国府に至るまでのルート。「令義解厩牧令の諸道置駅馬条によれば小路である。「延喜式」兵部省によると、駅家は、美濃国武義むげ駅・加茂駅(以上駅馬四)、飛騨国の下留しもつとまり駅・上留かみつとまり駅・石浦いしうら(以上駅馬五)がある。美濃国内の二駅は規定数を下回っているが、飛騨国の三駅はいずれも規定どおりの馬数を備えている。飛騨支路には、このほかに菅田すがた駅なるものがあったことが知られる。「続日本紀」宝亀七年(七七六)一〇月八日条には「美濃国菅田駅、与飛騨国大野郡伴有駅、相去七十四里、巌谷険深、行程殊遠、其中間量置一駅、名曰下留」とみえる。菅田駅と伴有とまり駅の中間に下留駅をおくというものである。これは「延喜式」以前の状態を示すもので、上留駅は本来伴有駅とよばれていたことがわかる。ここにみえる菅田駅は新設された下留駅の前駅ということになるが、のちの「延喜式」の武義駅・加茂駅のいずれに該当するかは、その比定地にかかわる問題である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報