家庭医学館 「顎関節症/顎関節内障」の解説
がくかんせつしょうがくかんせつないしょう【顎関節症/顎関節内障 Temporomandibular Arthrosis / Internal Derangement】
口を開けたり、閉じたりするときに、コキン、ガリガリという雑音がしたり、口を大きく開けることができなくなる病気です。顎関節の中に原因があったり、関節を動かす筋肉(咀嚼筋(そしゃくきん))に原因があったりするので、病変の部位によっていろいろなタイプに分けられています。
顎関節の中には、線維性結合組織からできている関節円板があって、関節面の緩衝材(かんしょうざい)としての役割をはたしていますが、この関節円板の異常が原因となる場合があり、これを顎関節内障(がくかんせつないしょう)といいます。
[症状]
あごの関節痛、関節雑音、開口障害がおもな症状ですが、もっとも多いのは、痛みです。
顎関節内障は、痛みのほかに関節雑音と開口障害が著しいのが特徴です。
咀嚼筋の緊張による痛みの場合は、雑音をともなうことはありません。
また、顎関節症で腫(は)れたり、熱が出たりすることはありません。
[検査と診断]
X線検査で病変がみられることが少ないため、症状の有無が重要です。
顎関節内障は、症状のほかに、MRIによって関節円板の異常をみることが診断の決め手となります。
[治療]
咀嚼筋の負担や痛みを軽くするために、鎮痛薬や筋弛緩薬(きんしかんやく)を使用します。
顎関節内障では、薬物療法と並行して、咬合床(こうごうしょう)(バイトプレート)という義歯(ぎし)に似た装具を歯列の上にかぶせる治療を行ないます。
[予防]
歯ぎしり、食いしばり、片側だけでかむ、かたい物をかむなどは、咬合(かみ合わせ)異常をおこして顎関節症をおこす原因となるので、これらの習慣をやめるように心がけることがたいせつです。
抜けた歯のあとを放置したり、合わない義歯や充填物(じゅうてんぶつ)があったりすると、咬合異常の原因となるので、早く処置しておくことが必要です。