領巾・肩巾(読み)ひれ

精選版 日本国語大辞典 「領巾・肩巾」の意味・読み・例文・類語

ひれ【領巾・肩巾】

〘名〙 (「ひら(枚)」と同語源)
① 細長く薄い布。
(イ) 波・風を起こしまたは静め、害虫毒蛇などを追い払うなど、呪力を持つと信じられた布。
古事記(712)上「蛇の比礼(ヒレ)〈二字以音〉を其の夫に授けて」
(ロ) 古代、首から肩に掛けて左右へ長く垂らした装飾用の白い布。主として女性が用いた。
※古事記(712)下・歌謡「ももしきの 大宮人は 鶉鳥 比礼(ヒレ)取り掛けて 鶺鴒(まなばしら) 尾行き合へ」
② 鏡立(かがみたて)に鏡をかけるときに、鏡の下にかける装飾用の布帛。〔満佐須計装束抄(1184)〕
③ 儀式用の矛などにつける小さな旗。〔和訓栞(1777‐1862)〕
[補注]本来は呪力をもつものとして用いられ、のちにその意識が薄れて装飾用に用いられたと思われる。①(イ)(ロ)の古い例にも呪力を意識していると思われるものがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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