須津庄・須津
すどのしよう・すど
潤井川下流左岸の現富士市比奈・中里・今泉・川尻などを中心とする一帯に比定される。戦国期からは単に広域名称として須津と称された。文永六年（一二六九）一二月八日付実相寺住僧等申状写（北山本門寺文書）に「須津庄」とみえ、実相寺の衆徒らは同寺の堺絵図・下知・具書などを管理していた大納言阿闍梨がこれらを須津庄に預け置いてしまっているので、その返還と同寺の境を実検によって再確認するよう北条時宗に求めている。建武元年（一三三四）八月一一日、後醍醐天皇は結城宗広に「須津庄内須津河郷」を安堵している（「後醍醐天皇綸旨案」結城文書）。同年八月宗広はこの綸旨案を添えて同郷の地頭職の打渡しを命ずる雑訴決断所牒の発給を求めた（「結城宗広代惟秀申状案」同文書）。須津河郷地頭職は鎌倉時代以来結城氏が相伝してきたものだったようである。同年九月一一日雑訴決断所は須津河郷地頭職を結城宗広に交付するよう駿河国守護所に命じている（「雑訴決断所牒案」同文書）。貞治二年（一三六三）大勲全策が須津庄内に善得寺の前身天寧庵を建立、当時、当庄の惣領主は越後国守上杉弾正少弼（憲将か）であった。応安三年（一三七〇）には庄内瀬古に移建され（当時の寺名福王寺）、庄内一二郷のうち最も豊かな横尾郷を寺領として寄進したという（「護国禅師雪斎遠緯香語写」臨済寺文書）。当庄には一二郷が含まれていたようである。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
