実検（読み）じっけん

精選版 日本国語大辞典

じっ‐けん【実検】

〘名〙 ある物事を本当かどうか調べ確かめること。首実検(くびじっけん)をいうことが多い。実験。

※九暦‐九条殿記・荷前事・承平六年（936）一二月一六日「大臣曰、早令_二実検_一者、外記蒙_レ仰、遣_二官掌_一令_二実検_一」

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

じっ‐けん【実検】

［名］(スル)ある事柄が事実かどうか、また本物かどうかを実地に調べること。「首実検」
[類語]調べる・検する・閲けみする・閲えっする・改める・検査・点検・検分・吟味・臨検・検閲・査閲・監査・チェック

出典　小学館

改訂新版　世界大百科事典

実検 (じっけん)

物事の実情を取り調べ確認すること。（1）朝廷の儀式で必要な人物，場所，器物などを確認すること。（2）武家で合戦の際，大将，主人が部下の取った敵の首級を検分することで，《日葡辞書》はこの意味のみを載せる（首実検）。また戦功の上申で負傷の申立てがあったとき，使節を派して確認すること（疵実検）。（3）鎌倉幕府で境相論＝境界争いの訴訟があったとき，裁判所側から使節を派遣して実情を調査すること。これは証拠調べであり，一般には証拠は当事者の提出によるが，境相論に限って裁判所側が職権で実検を行う。（4）鎌倉・室町両幕府の刑事訴訟関係の訴訟で当事者が被害の有無の調査を要求し，裁判所側がこれを行うこと。鎌倉末・室町初期には，訴人（原告）はまず守護の実検を請求し，これを証拠として提訴する。これは現場検証の意味もある。（5）中世の公領，荘園で田畠を調査し，現状や収穫の実情を調べたり，隠田を摘発したりすること。前者の結果作られる帳簿を実検取帳という。
執筆者：羽下 徳彦

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」